地下水の父より

丸井 敦尚 先生

地層処分のための科学的特性マップについて
1.はじめに
 わが国初の商用原発(黒鉛減速ガス冷却式)は1966年に茨城県東海村に誕生した。また、軽水炉型の原子力発電は福井県敦賀原発1号機であり、 1970(昭和45)年に操業を開始している。東日本大震災(2011年3月)の直前には、国内で59基の原発を数えるまでになり、可能最大出力は5,000万kW を超えていた。実際のところ、当時の国内の電力需要は1憶kW程度であり、原発の稼働をコントロールすることで、電気エネルギーの約1/4が原子力発電 によって賄われていた。原子炉はウラン等の燃料を使って発電するが、使用済みの燃料は処理されて再利用される(これを核燃料サイクルという)、 しかしながら、再利用できない、いわゆる核のゴミが5%程度生じ、これを高レベル放射性廃棄物と呼んでいる。この高レベル放射性廃棄物は融けたガラスと 混合し、固化して処分されることになっており、これをガラス固化体という(ステンレス製のキャニスター容器に入れる、1本の大きさは;直径43㎝、 高さ134㎝、重量は約500㎏)。仮に100万kwの原発が稼働すると、毎年27~28本のガラス固化体が発生すると言われており、わが国には既に25,000本以上の ガラス固化体に相当する高レベル放射性廃棄物が存在している。高レベル放射性廃棄物の処分方法については、これまでに数々の議論があった。南極の氷床下 に処分する方法や海洋投棄、宇宙放出などが検討されてきたが、現在のところ(南極条約やロンドン条約などにより)、受益国の領土内地下に処分すること (地層処分)で一致した理解を得ている。…